わたしはあなたを大いなる国民にし/あなたを祝福し、あなたの名を高める/祝福の源となるように。
創世記12:2(新共同訳)

主はアブラムを選び出す時、彼を「祝福の源」とすると言われました。アブラム(偉大な父)にアブラハム(多くの国民の父)という名を新たに与えられました。神の祝福は自分だけ受けるものではなく、周りの人々に、多くの人々に、増え広がるものです。イスラエルの父祖に与えられた祝福は、イスラエルのものだけに留まるものではありませんでした。アブラハムの孫のヨセフを通し、神はイスラエルの一族だけでなく、エジプトや周辺諸国の命も救いました。
主イエスの福音もユダヤ人だけでなく異邦人に広がっていきました。
昨年開催されたWCC(世界教会協議会)の総会の中で、ゲストとして挨拶されたReligions for Peace(平和のための宗教)の総幹事、アザ・カラム教授の言葉がとても心に響きました。イスラム教徒でもある彼女はこう語りました。
「キリストの愛はキリスト教徒たちや一部の市民のためだけでなく、すべての人々のためにあり、私のためにもあるのだと信じています」、「宗教の指導者たちの働きは政治家の働きとは異なるものです。戦争はより簡単な選択肢ですが、信仰の指導者たちは、戦争は選択肢ではないのだということを示すことができます。共に立ち、互いに聞き合い、連帯と一致を求めましょう。この世界はキリストの愛を受けるのに値する世界なのです。信仰者として行動しましょう」。
対立や異なる立場にある他者を排除することが目立つ世界の中で、彼女の言葉を改めて思い巡らします。

西之園路子(日本基督教団野田教会牧師、世界教会協議会中央委員)

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