比企敦子 NCC教育部総主事
「平和教育資料センター」開設後2年半となり、今年は日本日曜学校協会(NSSA)設立113年です。センターには各教派・教団の教会・神学校・団体が継続的に来館され、韓国、ミャンマー、アフガニスタン他、欧米諸国からも来館されました。
国内外を問わず、よくなされる質問があります。「長年キリシタン禁制が続いていたにもかかわらず、1920年(大正9年)開催の「第8回世界日曜学校大会」に、なぜ政財界・宮内省は国を挙げて支援したのか?」また、「1958年(昭和33年)開催の「第14回基督教教育世界大会」に、日本に侵略されたアジアの国々はなぜ参加したのか?日本は侵略への謝罪をしたのか?」等。これらの質問は大変的を射ていないでしょうか。
さらに、両大会の間には翼賛体制下での戦争協力という事実もあります。パソコンもインターネットもない時代に大規模な世界大会をよく開催できたと感心するばかりですが、両大会を経て、日本は列強或いは先進国入りのチケットを入手したようにも思われます。
植民地支配下の第8回大会に朝鮮半島や中国からのキリスト者の参加は当然ながらありませんでしたし、日本基督教団の戦責告白がなされたのは1967年になってからです。
教会教育の50年前、100年前の史実からもさまざまな問題点が浮かび上がってきます。信仰と伝道に燃えた輝かしい両大会は、近隣諸国のキリスト者の声を無視し、或いは自国の戦争責任を顧みないままでの開催でした。宮内省から高額な御下賜金を得たり、戦犯容疑者である岸信介首相を来賓として招くなど信じがたい事実が存在します。信仰と希望の発露と称賛された両大会には、苦しみや痛みを覚えるアジアの人々の姿が隠されています。
現在私たちが取り組んでいる活動が50年、100年後の検証に果たして耐え得るのかと思うと、身が引き締まる思いです。冒頭のイエスの言葉は「自らの思いや行い、主張を吟味し、アジアの一員であると自覚しなさい」と聞こえます。共に平和に過ごすために…。