聖書:使徒言行録2:1-4

傷ついた人々が震えていた。
師であるイエスを見捨てた自らの弱さに打ちひしがれていた。
それでも復活のキリストと出会い、確信した。
彼のゆるしと伴いに希望をみた。
目に見えるのは絶望的なことばかり。恐れと不安。
同時に、新たな始まりの予感と期待。
どうしたらいいのか、わからない。混乱と行きづまり。
途方にくれ、ただ肩よせあうばかり。

そこに突風が吹きこんだ。
神の息吹(聖霊)の暴風が、彼女・彼らを覆った。
立ち止まっている場合じゃないよ。だが恐れはつのるばかり。
轟音が響きわたる。一同はさらに震えあがった。わけが、わからない。
それでも生きている。生かされている。
風が拭い去る。吹き飛ばす。解放と静寂。

すると、熱い炎のような舌(ことば・思考)が一人ひとりに舞いおりた。
それは一同、いや一人ひとりの、いのちに降(くだ)った。
放たれた心に、神の慈しみがそそがれる。
一人ひとりのいのちが、風と、炎と、ことばによって
立ちあがり、出あい、ぶつかり、交わり、ともに生きる道がひらかれた。
神の息は見えなくても、たしかに今ここに吹きわたっている。
だから、どんなにこの世界が暗くても、自分が小さく思えても、うつむかなくていい。
聖霊が愛をはこび、いのちといのちをつないでいく。
だから、わたしたちは感謝と賛美と祈りをささげる。

米本裕見子 日本バプテスト連盟・日本バプテスト女性連合
東京北キリスト教会 

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