「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし 我らの足を平和の道に導く。」(ルカ1:79、聖書協会共同訳)

教会の暦はアドベントを迎え、一足早く新しい1年の歩みを始め、クリスマスを迎える準備としての降臨節(待降節)を過ごしています。

先日、正教会のご招待で、「ホロドモール合同祈祷式」に参列し、ウクライナ正教会の日韓の統括主教や立正佼成会・カトリック・プロテスタントの代表者、ウクライナ駐日大使をはじめ平和を願う多くの方々とご一緒に祈りをささげました。90年前のスターリン政権による強制的な食料没収によって引き起こされた「飢餓による虐殺」がホロドモールで、数百万人のウクライナの人々が犠牲となりました。ウクライナでは11月の第4土曜日(今年は11月26日・降臨節前夕)がホロドモールを記憶し追悼する日とされています。現在のロシアによるウクライナ侵攻も現代におけるホロドモール的な虐殺行為だと思わされ、「殺してはならない(出エジプト20:13、申命記5:17)」というみ言葉を深く心に刻みました。

今この時も力や言葉による暴力によって悲しみや困難のうちに置かれている人々、長引くCOVID-19の影響によって不安定な生活を余儀なくされている人々、自然災害や戦火によって命を失われた人々を覚えます。暗闇に光を灯すためにお生まれになったイエスさまに従う者として、いのちの尊厳を互いに守り合い、すべての人々の平和を求めて祈り行動する者であることを、アドベントを過ごしながら改めて思い起こします。クリスマスの喜びが、慈しみと愛の光とともにすべての人々に届けられますように。

矢萩新一(NCC副議長・日本聖公会司祭)

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