人権教育・啓発に関する基本計画

 (中間取りまとめ)

 

第1章 はじめに

  ○  人権教育・啓発に関する基本計画は,人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成12年法律第147号,同年12月6日施行。以下「人権教育・啓発推進法」という。)第7条の規定に基づき,人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,策定するものである。

  ○  我が国では,これまで人権に関する各般の施策が講じられてきたが,今日においても,生命・身体の安全にかかわる事象や,社会的身分,門地,人種,信条,性別,障害等による不当な差別その他の人権侵害がなお存在している。

  ○  また,我が国社会の国際化,情報化,高齢化等の進展に伴って,人権に関する新たな課題も生じてきている。

 

  1  人権教育・啓発推進法制定までの経緯

・  人権教育のための国連10年推進本部の設置(平成7年12月15日閣議決定)及び「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画(以下「国連10年国内行動計画」という。)の策定(平成9年7月4日)

・  人権擁護施策推進法の制定(平成8年法律第120号,平成9年3月25日施行)及び人権擁護推進審議会の設置

・  人権擁護推進審議会の人権教育・啓発に関する答申(平成11年7月29日)

・  人権教育・啓発推進法の制定

  2  基本計画の策定方針と構成

    (1)  基本計画の策定方針

        ・  中・長期的な展望の下に策定する。

        ・  国連10年国内行動計画を踏まえ充実したものとする。

        ・  人権擁護推進審議会の人権教育・啓発に関する答申を踏まえる。

        ・  行政の中立性に配慮する。

        ・  地方自治体や民間団体等関係各方面からの意見を幅広く聴取する。

    (2)  基本計画の構成

        ・  第1章 はじめに

        ・  第2章 人権教育・啓発の現状

        ・  第3章 人権教育・啓発の基本的在り方

        ・  第4章 人権教育・啓発の推進方策

        ・  第5章 計画の推進

 

第2章 人権教育・啓発の現状

  1  人権を取り巻く情勢

○  特に,女性,子ども,高齢者,障害者,同和問題,アイヌの人々,外国人,HIV感染者やハンセン病患者等をめぐる様々な人権問題は,現在及び将来にわたって人権擁護を推進していく上での重要課題となっている。

○  また,近年,犯罪被害者の人権問題に対する社会的関心が大きな高まりを見せているほか,インターネット上の電子掲示板やホームページへの差別的情報の掲示等,新たな人権問題も生じている。

  2  人権教育の現状

    (1)  人権教育の意義・目的

○  人権教育とは,「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」(人権教育・ 啓発推進法第2条)を意味する。

○  学校教育については,それぞれの学校種の教育目的や目標の実現を目指して,自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などを培う教育活動を組織的・計画的に実施するものであり,こうした学校の教育活動全体を通じ,幼児児童生徒,学生の発達段階に応じて,人権尊重の意識を高める教育を行っていくこととなる。

○  社会教育については,生涯学習の視点に立って,学校外において,青少年のみならず,幼児から高齢者に至るそれぞれのライフサイクルにおける多様な教育活動を展開していくことを通じて,人権尊重の意識を高める教育を行っていくこととなる。

    (2)  人権教育の実施主体

○  人権教育の実施主体としては,学校,社会教育施設,教育委員会などのほか,社会教育関係団体,民間団体,公益法人などが挙げられる。

○  学校教育及び社会教育における人権教育に関係する機関としては,国レベルでは文部科学省,都道府県レベルでは各都道府県教育委員会及び私立学校を所管する都道府県知事部局,市町村レベルでは各市町村教育委員会等がある。

    (3)  人権教育の現状

        ア  学校教育

○  学校教育においては,幼児児童生徒,学生の発達段階に応じながら,学校教育活動全体を通じて人権尊重の意識を高め,一人一人を大切にした教育の充実を図っている。

○  幼稚園教育要領,小・中・高等学校及び盲・聾・養護学校の学習指導要領等を改訂し,「生きる力」(自ら学び自ら考える力,豊かな人間性など)の育成を目指し,それぞれの教育の一層の充実を図っている。

○  平成13年7月には,学校教育法が改正され,小・中・高等学校及び盲・聾・養護学校においてボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動など体験活動の充実に努めることとされたところであり,人権教育の観点からも各学校の取組の促進が望まれる。

○  学校教育をめぐっては,知的理解にとどまり,人権感覚が十分身に付いていないなど指導方法の問題,教職員に人権尊重の理念について十分な認識が必ずしもいきわたっていない等の問題も指摘されている。

        イ  社会教育

○  すべての教育の出発点である家庭教育の充実を図るため,親の学習機会を提供するとともに,家庭でのしつけの在り方等を分かりやすく解説した家庭教育手帳・家庭教育ノートを乳幼児や小学生等を持つ親に配布している。

○  生涯の各時期に応じ,各人の自発的学習意思に基づき,人権に関する学習ができるよう,公民館等の社会教育施設を中心に学級・講座の開設や交流活動など,人権に関する多様な学習機会が提供されている。

○  また,社会教育指導者のための人権教育に関する手引の作成などが行われている。

○  さらに,社会教育主事等の社会教育指導者を対象に様々な形で研修が行われ,指導者の資質の向上が図られている。

○  加えて,平成13年7月には,社会教育法が改正され,青少年にボランティア活動などの社会奉仕体験活動,自然体験活動等の機会を提供する事業の実施及びその奨励が教育委員会の事務として明記されたところであり,人権尊重の心を養う観点からも各教育委員会における取組の促進が望まれる。

○  社会教育をめぐっては,知識伝達型の講義形式の学習に偏りがちであることなどの課題が指摘されている。

  3  人権啓発の現状

    (1)  人権啓発の意義・目的

○  人権啓発とは,「国民の間に人権尊重の理念を普及させ,及びそれに対する国民の理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)」(人権教育・啓発推進法第2条)を意味する。

○  その目的とするところは,国民の一人一人が人権を尊重することの重要性を正しく認識し,これを前提として他人の人権にも十分に配慮した行動がとれるようにすることにある。

    (2)  人権啓発の実施主体

○  人権啓発の実施主体としては,全国各地に配置された国の組織として,法務省の人権擁護機関を挙げることができる。

○  また,法務省以外の府省庁等においても,その所掌事務との関連で,人権にかかわる啓発活動を行っている。

○  地方公共団体や公益法人,民間団体等においても,人権にかかわる様々な活動に取り組んでいるところであり,今後も人権啓発の実施主体として重要な一翼を担っていくことが期待される。

    (3)  人権啓発の現状

○  法務省の人権擁護機関は,広く一般国民を対象に,人権尊重思想の普及高揚のために様々な啓発活動を行っている。

○  しかし,昨今,その内容・手法が必ずしも国民の興味・関心・共感を呼び起こすものになっていない,啓発活動の実施に当たってのマスメディアの効果的な活用が十分とは言えない,法務省の人権擁護機関の存在及び活動内容に対する国民の周知度が十分でないとともに,その実施体制や担当職員の専門性も十分でない等の問題点が指摘されている。

 

第3章 人権教育・啓発の基本的在り方

  1  人権尊重の理念

○  人権とは,人間の尊厳に基づいて各人が持っている固有の権利であり,社会を構成するすべての人々が個人としての生存と自由を確保し,社会において幸福な生活を営むために欠かすことのできない権利である。

○  人権が共存し得る社会を実現するためには,すべての個人が,相互に人権の意義及びその尊重と共存の重要性について,理性及び感性の両面から理解を深めるとともに,自分の権利の行使に伴う責任を自覚し,自分の人権と同様に他人の人権をも尊重することが求められる。

  2  人権教育・啓発の基本的在り方

    (1)  実施主体間の連携と国民に対する多様な機会の提供

○  人権教育・啓発にかかわる活動をより一層効果的かつ総合的に推進するためには,人権教育・啓発の各実施主体がその担うべき役割を踏まえた上で,相互に有機的な連携協力関係を強化することが重要である。

○  人権教育・啓発は,国民の一人一人の生涯の中で,様々な機会を通して実施されることにより効果を上げるものと考えられ,その観点からも,人権教育・啓発の各実施主体は相互に十分な連携をとり,その総合的な推進に努めることが望まれる。

    (2)  発達段階等を踏まえた効果的な手法

○  人権教育・啓発を効果的に推進していくためには,人権教育・啓発の対象者の発達段階を踏まえ,地域の実情等に応じて,粘り強くこれを実施する必要がある。

○  人権問題を直感的にとらえる感性や日常生活において人権への配慮がその態度や行動に現れるような人権感覚が十分に身に付くようにしていくことが極めて重要である。そのためには,人権教育・啓発の対象者の発達段階に応じながら,その対象者の家庭,学校,地域社会などにおける日常生活の経験などを具体的に取り上げるなど,創意工夫を凝らしていく必要がある。

○  人権教育・啓発の手法については,「法の下の平等」,「個人の尊重」といった人権一般の普遍的な視点からのアプローチと,具体的な人権課題に即した個別的な視点からのアプローチとがあり,この両者があいまって人権尊重についての理解が深まっていくものと考えられる。

○  なお,人権教育・啓発の推進に当たって,外来語を安易に使用することは,正しい理解の普及を妨げる場合もあるので,官公庁はこの点に留意して適切に対応することが望ましい。

    (3)  国民の自主性の尊重と教育・啓発における中立性の確保

○  人権教育・啓発は,国民の一人一人の心の在り方に密接にかかわる問題でもあることから,その自主性を尊重し,押し付けにならないように十分留意する必要がある。

○  国民の間に人権問題や人権教育・啓発の在り方について多種多様な意見があることを踏まえ,異なる意見に対する寛容の精神に立って,自由な意見交換ができる環境づくりに努めることも求められる。

○  人権教育・啓発がその効果を十分に発揮するには,その内容はもとより,実施の方法等においても,国民から,幅広く理解と共感を得られるものであることが必要である。

○  人権教育・啓発を担当する行政は,特定の団体等から不当な影響を受けることなく,主体性や中立性を確保することが厳に求められる。

人権教育・啓発に関する基本計画 (中間取りまとめ)

 

第4章 人権教育・啓発の推進方策

  ○  第3章に記述した人権教育・啓発の基本的な在り方を踏まえつつ,国連10年国内行動計画に基づく取組の強化及び人権教育・啓発に関する人権擁護推進審議会の答申で提言された人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進のための諸方策の実施が重要である。

  1  人権一般の普遍的視点からの取組

    (1)  人権教育

○  人権教育は,生涯学習の視点に立って,幼児期からの発達段階を踏まえ,地域の実情等に応じて,学校教育と社会教育とが相互に連携を図りつつ,これを実施する必要がある。

        ア  学校教育

○  学校教育においては,それぞれの学校種の教育目的や目標の実現を目指して教育活動を展開していく。幼児児童生徒,学生が,社会生活を営む上で必要な知識・技能,態度などを確実に身に付けることを通じて,人権尊重の精神の涵養が図られるようにする。

    ・  学校における指導方法の改善を図るため,効果的な教育実践や学習教材などについ て情報収集や調査研究を行い,その成果を学校等に提供していく。

    ・  社会教育との連携を図りつつ,社会性や豊かな人間性を育むため,ボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動を始めとする多様な体験活動の機会の充実を図っていく。

    ・  子どもたちに人権尊重の精神を涵養していくためにも,各学校は,人権に配慮した教育指導や学校運営に努める。校内暴力やいじめなどが憂慮すべき状況にある中,子どもたちが安心して楽しく学ぶことのできる環境を確保する。

    ・  養成・採用・研修を通じて教職員の資質向上を図り,人権尊重の理念について十分な認識を持った人材を確保していく。個に応じたきめ細かな指導が一層可能となるよう,教職員配置の改善を進めていく。

        イ  社会教育

○  社会教育においては,すべての人々の人権が真に尊重される社会の実現を目指し,すべての教育の出発点である家庭教育の充実を始め,生涯学習の振興のための各種施策を通じて,人権に関する学習の一層の充実を図っていく。

    ・  幼児期から豊かな情操や思いやり,生命を大切にする心,善悪の判断など人間形成の基礎を育む上で重要な役割を果たす家庭教育の充実を図る。家庭教育に関する親の学習機会の充実や情報の提供を図るとともに,父親の家庭教育参加の促進,子育てに不安や悩みをかかえる親等への相談体制の整備等を図る。

    ・  公民館等の社会教育施設を中心として,人権に関する多様な学習機会の充実を図る。また,学校教育との連携を図りつつ,青少年の社会性や豊かな人間性を育むため,ボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動を始めとする多様な体験活動の機会の充実を図っていく。さらに,初等中等教育を修了した青年や成人のボランティア活動など社会奉仕活動を充実するための環境の整備を図る。

    ・  学習意欲を高めるような参加体験型の学習プログラムの開発を図るとともに,広く関係機関にその成果を普及する。

    ・  地域社会において人権教育を先頭に立って推進していく指導者の養成及び,その資質の向上を図り,社会教育における指導体制の充実を図る。

    (2)  人権啓発

○  人権啓発は,その内容はもとより実施の方法においても,国民から幅広く理解と共感が得られるものであることが肝要である。

        ア  内容

○  国民の理解と共感を得るという視点から,人権をめぐる今日の社会情勢を踏まえた啓発が重要である。

    ・  人権の周知度

       基本的人権が侵すことのできない永久の権利として憲法で保障されていることについての周知度が低下傾向にあることから,これを向上させることを目的とした啓発を推進する必要がある。

    ・  生命の尊さ

       近年,日常生活のあらゆる場面において,些細なことから簡単に人が殺傷される事件が跡を絶たず,生命を尊重する意識が薄れてきていることが指摘されていることを踏まえ,改めて生命の尊さ・大切さ等について啓発していく必要がある。

     ・  個性の尊重

        世間体を過度に気にする一般的風潮や我が国社会における根強い横並び意識の存在等が各種差別の解消を妨げていると言わざるを得ない。互いの人権を尊重し合うということの意味が,各人の異なる個性を前提として互いに尊重し合うという価値基準であることから,この考え方を社会に広める啓発を推進する必要がある。

        イ  方法

○  啓発の方法に関し,国民の理解と共感を得るという視点から留意すべき主な点としては,以下のものを挙げることができる。

     ・  対象者の発達段階に応じた啓発

       対象者の発達段階に応じて,その家庭,学校,地域社会などにおける日常生活の経験などを人権尊重の観点から具体的に取り上げ,自分の課題として考えてもらうなど,手法に創意工夫を凝らしていく必要がある。また,対象者の発達段階に応じた手法の選択ということも重要である。

      ・  具体的な事例等を活用した啓発

         人権啓発の効果を高めるためには,具体的な事例を取り上げ,その問題を前提として自由に議論することも,啓発を受ける人の心に迫りやすいという点では効果がある。

      ・  参加型・体験型の啓発

         人権感覚や感性を体得するという観点からすると,各種の人権啓発冊子等の作成・配布や講演会・研修会の実施等,啓発主体が一方的に行う啓発には一定の限界があり,例えば,各種のワークショップや車椅子体験研修等,啓発を受ける者が主体的・能動的に参加できるような啓発手法にも着目し,これらの採用を積極的に検討・推進すべきである。

  2  各人権課題に対する取組

     人権教育・啓発に当たっては,普遍的視点からの取組のほか,各人権課題に対する取組を推進し,それらに関する知識や理解を深め,さらには課題の解決に向けた実践的な態度を培っていくことが望まれる。その際,地域の実情,対象者の発達段階等や実施主体の特性などを踏まえつつ,適切な取組を進めていくことが必要である。

    (1)  女性

○  日本国憲法は,法の下の平等について規定し,政治的,経済的又は社会的関係における性差別を禁止する(第14条)とともに,家族関係における男女平等について明文の規定を置いている(第24条)。

○  しかし,現実には,「男は仕事,女は家庭」という表現に代表される従来の固定的な性別役割分担意識が依然として根強く残っていることから,社会生活の様々な場面において女性が不利益を受けることが少なからずある。

○  また,夫・パートナーからの暴力,性犯罪,売買春,セクシュアル・ハラスメント,ストーカー行為等,女性に対する暴力事案等が社会的に問題となるなど,真に男女共同参画社会が実現されているとは言い難い状況にある。

○  国際的動向

    ・  国際婦人年(1975年)と国連婦人の10年(1976〜1985年)

    ・  女子差別撤廃条約の採択(1979年)と発効(1981年),我が国の批准(1985年)

    ・  女性に対する暴力の撤廃に関する宣言(1993年)

    ・  女性会議等の国際会議の開催

○  国内的動向

    ・  男女共同参画社会基本法の制定(平成11年6月)

    ・  男女共同参画基本計画の策定(平成12年12月)

    ・  男女共同参画社会の形成の促進に関する推進体制の強化(平成13年1月)

        男女共同参画会議の設置

○  上記の動向等を踏まえ,以下の取組を進める。

     政策・方針決定過程への女性の参画を拡大していくため,国が率先垂範して取組を進めるとともに,地方公共団体,企業,各種機関・団体等のあらゆる分野へ広く女性の参画促進を呼びかけ,その取組を支援する。(全府省庁)

     男女共同参画の視点に立って様々な社会制度・慣行の見直しを行うとともに,人々の意識の改革を図るため,国民的広がりを持った広報・啓発活動を積極的に展開する。また,女性の権利に関係の深い国内法令や,女子差別撤廃条約,女性2000年会議の「成果文書」等の国際文書の内容の周知に努める。(全府省庁)

     女性に対する偏見や差別意識を解消し,固定的な性別役割分担意識を払拭することを目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

     性別に基づく固定的な役割分担意識を是正し,人権尊重を基盤とした男女平等観の形成を促進するため,家庭,学校,地域など社会のあらゆる分野において男女平等を推進する教育・学習の充実を図る。また,女性の生涯にわたる学習機会の充実,社会参画の促進のための施策を充実させる。(文部科学省)

     雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等のため,啓発等を行うとともに,働くことを中心に女性の社会参加を積極的に支援するための事業を「女性と仕事の未来館」において実施する。(厚生労働省,文部科学省)

     農山漁村の女性が,男性とともに積極的に参画できる社会を実現するため,男性を含めた家庭及び地域社会において農山漁村の女性の地位向上・方針決定への参画促進のための啓発等を実施する。(農林水産省)

     国の行政機関の策定する広報・出版物等において性にとらわれない表現を促進するとともに,メディアにおける女性の人権の尊重を確保するため,メディアの自主的取組を促しつつ,メディアの特性や技術革新に対応した実効ある対策を進める。(内閣府ほか関係省庁)

     夫・パートナーからの暴力,性犯罪,売買春,セクシュアル・ハラスメント,ストーカー行為等女性に対するあらゆる暴力を根絶するための基盤整備を行うとともに,暴力の形態に応じた幅広い取組を総合的に推進する。(内閣府)

     夫・パートナーからの暴力,性犯罪,売買春,ストーカー行為等女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて,厳正な取締りはもとより,被害女性の人権を守る観点から,事情聴取等を被害者の希望に応じた性別の警察官が行えるようにするなど,必要な体制を整備するとともに,事情聴取,相談等に携わる職員の教育訓練を充実する。(警察庁)

     女性に対しては,夫・パートナーからの暴力,性犯罪,売買春,セクシュアル・ハラスメント,ストーカー行為等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し女性の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

     女性の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,平成12年に全国に設置した電話相談「女性の人権ホットライン」を始めとする人権相談体制を充実させる。なお,女性からの人権相談に対しては女性の人権擁護委員や職員が対応するなど相談しやすい体制づくりに努めるほか,必要に応じて関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

     我が国のイニシアティブにより国連婦人開発基金(UNIFEM)内に設置された「女性に対する暴力撤廃のための信託基金」等,女性の人権保護にかかわる国際的取組に対して協力する。(外務省)

    (2)  子ども

○  子どもの人権の尊重とその心身にわたる福祉の保障及び増進などに関しては,既に日本国憲法を始め,児童福祉法や児童憲章,教育基本法などにおいてその基本原理ないし理念が示され,また,国際的にも児童の権利に関する条約等において権利保障の基準が明らかにされ,各種の権利が宣言されている。

○  しかし,子どもたちを取り巻く環境は,我が国においても懸念すべき状況にある。例えば,少年非行は,現在,戦後第4の多発期にあり,質的にも凶悪化や粗暴化の傾向が指摘されている。一方で,実親等による子に対する虐待が深刻な様相を呈しているほか,犯罪による被害を受ける少年の数が増加している。児童買春・児童ポルノ,薬物乱用など子どもの健康や福祉を害する犯罪も多発している。さらに,学校をめぐっては,校内暴力やいじめ,不登校等の問題が依然として憂慮すべき状況にある。

○  子どもたちを取り巻くこのような問題の解決を図っていくためには,家庭や地域社会での子育てや学校における教育の在り方を見直していくと同時に,大人社会における利己的な風潮や,モノ・カネ等の物質的な価値を優先する考え方などを問い直していくことが必要である。大人たちが,未来を担う子どもたち一人一人の人格を尊重し,健全に育てていくことの大切さを改めて認識し,自らの責任を果たしていくことが求められている。

○  こうした認識に立って,様々な国内の法令や国際条約の趣旨に沿って,政府のみならず,地方公共団体,地域社会,学校,家庭,民間企業・団体や情報メディア等,社会全体が一体となって相互に連携を図りながら,子どもの人権の尊重及び保護に向けた取組を推進することとする。

   子どもを単に保護・指導の対象としてのみとらえるのではなく,基本的人権の享有主体として最大限に尊重されるような社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

   学校教育及び社会教育を通じて,憲法及び教育基本法の精神にのっとり,人権尊重の意識を高める教育の一層の推進に努める。学校教育については,人権教育の充実に向けた指導方法の研究を推進するとともに,幼児児童生徒の人権に十分に配慮し,一人一人を大切にした教育指導や学校運営が行われるように努める。その際,自他の権利を大切にすることとともに,社会の中で果たすべき義務や自己責任についての指導に努めていく。社会教育においては,公民館等における各種学級・講座等による学習機会の充実に努める。(文部科学省)

   学校教育法及び社会教育法の改正(平成13年7月)の趣旨等を踏まえ,子どもの社会性や豊かな人間性を育む観点から,全小・中・高等学校等において,ボランティア活動など社会奉仕体験活動,自然体験活動等の体験活動を積極的に推進する。(文部科学省)

   校内暴力やいじめ,不登校などの問題の解決に向け,スクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実を始めとする取組を推進する。また,問題行動を起こす児童生徒については,出席停止制度の適切な運用を図るとともに,学校・教育委員会・関係機関からなるサポートチームを組織して個々の児童生徒の援助に当たるなど,地域ぐるみの支援体制を整備していく。(文部科学省)

   親に対する家庭教育についての学習機会や情報の提供,子育てに関する相談体制の整備など家庭教育を支援する取組の充実に努める。(文部科学省)

   児童虐待など,児童の健全育成上重大な問題についての総合的な取組を推進するとともに,啓発活動を推進する。(厚生労働省,文部科学省,警察庁)

   児童買春・児童ポルノ,児童売買といった児童の商業的性的搾取の問題が国際社会の共通の課題となっていることから,児童の権利に関する条約の広報等を通じ,積極的にこの問題に対する理解の促進に取り組む。(外務省)

   犯罪等の被害に遭った少年に対し,カウンセリング等による支援を行うとともに,少年の福祉を害する犯罪の取締りを推進し,被害少年の救出・保護を図る。(警察庁)

   保育所保育指針における「人権を大切にする心を育てる」ため,この指針を参考として児童の心身の発達,家庭や地域の実情に応じた適切な保育を実施する。(厚生労働省)

   子どもに対する教師等による体罰等の事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し子どもの人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

   教職員について,養成・採用・研修を通じ,人権尊重意識を高めるなど資質向上を図るとともに,個に応じたきめ細かな指導が一層可能となるよう,教職員配置の改善を進めていく。教職員による子どもの人権を侵害する行為が行われることのないよう厳しい指導・対応を行う。(文部科学省)

   子どもの人権問題の解決を図るため,「子どもの人権専門委員」制度を充実・強化するほか,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,「子どもの人権110番」による電話相談を始めとする人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (3)  高齢者

○  人口の高齢化は,世界的な規模で急速に進んでいる。我が国においては,2015年には4人に1人が65歳以上という本格的な高齢社会が到来すると予測されているが,これは世界に類を見ない急速な高齢化の体験であることから,我が国の社会・経済の構造や国民の意識はこれに追いついておらず,早急な対応が喫緊の課題となっている。

○  国際的動向

    ・  高齢化に関する国際行動計画(1982年)

    ・  高齢者のための国連原則(1991年)

    ・  国際高齢者年(1999年)

○  国内的動向

    ・  長寿社会対策大綱(昭和61年6月閣議決定)

    ・  高齢社会対策基本法施行(平成7年12月)

    ・  高齢社会対策大綱(平成8年7月閣議決定。なお,今年中に新しい大綱を策定する予定)

○  高齢者の人権にかかわる問題としては,高齢者に対する身体的・精神的な虐待やその有する財産権の侵害のほか,社会参加の困難性などが指摘されている。

○  こうした動向等を踏まえ,高齢者が安心して自立した生活を送れるよう支援するとともに,高齢者が社会を構成する重要な一員として各種の活動に積極的に参加できるよう,各般の取組を推進することとする。

   高齢者の人権についての認識と理解を深めるとともに,高齢者も社会の一員として生き生きと暮らせる社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

   「敬老の日」「老人の日」「老人週間」の行事を通じ,広く国民が高齢者の福祉について関心と理解を深める。(厚生労働省)

   学校教育においては,高齢化の進展を踏まえ,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間といった学校教育活動全体を通じて,高齢者に対する尊敬や感謝の心を育てるとともに,高齢社会に関する基礎的理解や介護・福祉の問題などの課題に関する理解を深めさせる教育を推進する。(文部科学省)

   高齢者の学習機会の体系的整備並びに高齢者の持つ優れた知識・経験等を生かして社会参加してもらうための条件整備を促進する。(厚生労働省,文部科学省)

   高齢者と他の世代との相互理解や連帯感を深めるため,世代間交流の機会を充実させる。(内閣府,厚生労働省,文部科学省)

   高齢者が社会で活躍できるよう,ボランティア活動など高齢者の社会参加を促進する。(内閣府,厚生労働省,文部科学省)

   高齢者が長年にわたり培ってきた知識,経験等を活用して働き続けることができる社会を実現するため,定年の引き上げ等による65歳までの安定した雇用の確保,再就職の援助,多様な就業機会の確保のための啓発活動に取り組む。(厚生労働省)

   高齢化が急速に進行している農山漁村において,高齢者が農業生産活動,地域社会活動等において生涯現役を目指し,安心して住み続けられるよう支援する。(農林水産省)

   高齢者に対しては,介護を必要としている高齢者に対する介護者等による肉体的虐待,心理的虐待,経済的虐待(財産侵害)等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し高齢者の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

   高齢者の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,高齢者が利用しやすい人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (4)  障害者

○  障害者を含むすべての人々は,同一の基本的人権及び機会の均等を保障されているが,現実には,障害のある人々は様々な物理的及び社会的障壁のために不利益を被ることが多く,その自立と社会参加が阻まれている状況にある。

○  国際的動向

    ・  知的障害者の権利宣言(1971年)

    ・  障害者の権利宣言(1975年)

    ・  国際障害者年(1981年)

    ・  国際障害者年行動計画(1979年)

    ・  国連・障害者の10年(1983〜1992年)

    ・  アジア太平洋障害者の10年(1993〜2002年)

○  国内的動向

    ・  障害者対策に関する長期計画の策定(昭和57年3月)

    ・  障害者対策推進本部の設置

    ・  障害者対策に関する新長期計画の策定(平成5年3月)

    ・  障害者プラン(平成7年度〜平成14年度)策定(平成6年12月)

○  このような状況を踏まえ,特に次のような施策の推進を図る。

     障害者の自立と社会参加をより一層推進し,障害者の「完全参加と平等」の目標に向けて「ノーマライゼーション」の理念を実現するための啓発・広報活動を推進する(障害者の日及び週間を中心とする啓発・広報活動等)。(内閣府)

     障害者に対する偏見や差別意識を解消し,ノーマライゼーションの理念を定着させることにより,障害者の自立と完全参加を可能とする社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

     障害者の自立と社会参加を目指し,盲・聾・養護学校や特殊学級等における教育の充実を図るとともに,障害のある子どもに対する理解と認識を促進するため,小・中学校等や地域における交流教育の実施,小・中学校の教職員等のための指導資料の作成・配布,並びに学校教育関係者及び保護者等に対する啓発事業を推進する。さらに,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間といった学校教育活動全体を通じて,障害者に対する理解,社会的支援や介助・福祉の問題などの課題に関する理解を深めさせる教育を推進する。(文部科学省)

     障害者の職業的自立意欲の喚起及び障害者の雇用問題に関する国民の理解を促進するため,障害者雇用促進月間を設定し,全国障害者雇用促進大会を開催するなど障害者雇用促進運動を展開する。また,障害者の職業能力の向上を図るとともに,社会の理解と認識を高めるため,身体障害者技能競技大会を開催する。(厚生労働省)

     精神障害者に対する差別,偏見の是正のため,地域精神保健福祉対策促進事業等に基づきノーマライゼーションの理念の普及・啓発活動を推進し,精神障害者の人権擁護のため,精神保健指定医,精神保健福祉相談員等に対する研修を実施する。(厚生労働省)

     障害者に対しては,雇用差別,財産侵害,施設における劣悪な処遇や虐待等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し障害者の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

      障害者の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,障害者が利用しやすい人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

      国連総会で採択された「障害者に関する世界行動計画」の目的実現のためのプロジェクトを積極的に支援するため,「国連障害者基金」に対して協力する。(外務省)

    (5)  同和問題

○  同和問題は,我が国固有の重大な人権問題であり,その早期解消を図ることは国民的課題でもある。

○  政府は,これまで各種の取組を展開してきており,特に戦後は,3本の特別立法に基づいて様々な施策を講じてきた。その結果,同和地区の劣悪な生活環境の改善を始めとする物的な基盤整備は着実に成果を上げ,ハード面における一般地区との格差は大きく改善されてきており,物的な環境の劣悪さが差別を再生産するというような状況も改善の方向に進み,差別意識の解消に向けた教育及び啓発も様々な創意工夫の下に推進されてきた。

○  これらの施策等によって,同和地区出身者に対する国民一般の差別意識は,解消に向けて進みつつあるものの,依然として人々の心の中に根強く存在していることから,結婚問題を中心とする差別事象が見られるほか,就職に際しての問題等がある。また,同和問題に対する国民の理解を妨げる「えせ同和行為」も依然として横行しているなど,深刻な状況にある。

○  地域改善対策特定事業については,平成14年3月の地対財特法の失効に伴いすべて終了し,今後の施策のニーズには,他の地域と同様に,地域の状況や事業の必要性に応じ所要の施策が講じられる。以後はその中で対応が図られることとなるが,これまでの同和問題に関する教育・啓発活動の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ,同和問題を重要な人権問題の一つとしてとらえ,以下の施策を積極的に推進する。

     同和問題に関する差別意識については,「同和問題の早期解決に向けた今後の方策について(平成8年7月26日閣議決定)」に基づき,人権教育・人権啓発の事業を推進することにより,その解消を図っていく。その際,学校,家庭及び地域社会が一体となって進学意欲と学力の向上を促進していく。(文部科学省,法務省)

     同和問題に関する偏見や差別意識を解消し,同和問題の早期解決を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

     雇用主に対して就職の機会均等を確保するための公正な採用選考システムの確立が図られるよう指導・啓発を行う。(厚生労働省)

     小規模事業者の産業にかかわりの深い業種等に対して,人権尊重の理念を広く普及させ,その理解を深めるための啓発事業を実施する。(経済産業省)

     農漁協等関係農林漁業団体の職員を対象に,都道府県及び全国農林漁業団体が農林漁業を振興する上で阻害要因となっている同和問題を始めとした広範な人権問題に関する教育・啓発を行う。(農林水産省)

     社会福祉施設である隣保館においては,地域改善対策協議会意見具申(平成8年5月17日)に基づき,周辺地域を含めた地域社会全体の中で,福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして総合的な活動を行い,更なる啓発活動を推進する。また,地域における人権教育を推進するための中核的役割を期待されている社会教育施設である公民館等とも,積極的な連携を図る。(厚生労働省,文部科学省)

     同和問題解決の阻害要因となっている「えせ同和行為」の排除に向け,啓発等の取組を推進する。(法務省ほか関係省庁)

     同和問題に関しては,結婚や就職等における差別,差別落書き,インターネットを利用した差別情報の掲載等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し同和問題に対する正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

     同和問題に係る人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,利用しやすい人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (6)  アイヌの人々

○  アイヌの人々は,少なくとも中世末期以降の歴史の中では,当時の「和人」との関係において北海道に先住していた民族であり,現在においてもアイヌ語等を始めとする独自の文化や伝統を有している。

○  しかし,アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるその文化や伝統は,江戸時代の松前藩による支配や,維新後の「北海道開拓」の過程における同化政策などにより,今日では十分な保存,伝承が図られているとは言い難い状況にある。

○  また,アイヌの人々の経済状況や生活環境,教育水準等は,これまでの北海道ウタリ福祉対策の実施等により着実に向上してきてはいるものの,アイヌの人々が居住する地域において,他の人々となお格差があることが認められるほか,結婚や就職等における偏見や差別の問題がある。

○  国内的動向

    ・  「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」の設置(平成7年3月)

    ・  アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律の制定(平成9年5月)

○  こうしたアイヌの人々に対する取組に当たっては,国民一般がアイヌの人々の民族としての歴史,文化,伝統及び現状についての理解と認識を深め,その人権を尊重していくことが重要であり,その観点から特に以下の施策に取り組む。

     アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統及びアイヌ文化に関する国民に対する知識の普及及び啓発を図るための施策を推進する。(文部科学省,国土交通省)

     アイヌの人々に対する偏見や差別意識を解消し,その固有の文化や伝統に対する正しい認識と理解を深め,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

     学校教育では,アイヌの人々について,社会科等において取り上げられており,今後とも引き続き基本的人権の尊重の観点に立った教育を推進するため,教職員の研修を推進する。(文部科学省)

     各高等教育機関等におけるアイヌ語やアイヌ文化に関する教育研究について,取組に配慮する。(文部科学省)

     生活館において,アイヌの人々の生活の改善向上・啓発等の活動を推進する。(厚生労働省)

     アイヌの人々に対しては,結婚や就職等における差別等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対しアイヌの人々の人権の重要性及びアイヌの文化・伝統に対する正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

     アイヌの人々の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,アイヌの人々が利用しやすい人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (7)  外国人

○  近年の国際化時代を反映して,我が国に在留する外国人は年々急増している。

○  日本国憲法は,権利の性質上,日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人についても,等しく基本的人権の享有を保障しているところであり,政府は,外国人の平等の権利と機会の保障,他国の文化・価値観の尊重,外国人との共生に向けた相互理解の増進等に取り組んでいる。

○  しかし,現実には,我が国の歴史的経緯に由来する在日韓国・朝鮮人等をめぐる問題のほか,就労差別や入居・入店拒否など,外国人に対する様々な人権問題が発生している。

○  その背景には,島国という地理的条件や長年にわたる鎖国の歴史等に加え,他国の言語,宗教,習慣等への理解不足からくる外国人に対する偏見やアレルギーの存在などが挙げられる。

○  以上のような認識に立ち,外国人に対する偏見や差別意識を解消し,外国人の持つ文化や多様性を受け入れ,国際的視野に立って一人一人の人権が尊重されるために,特に以下の施策を推進する。

     外国人に対する偏見や差別意識を解消し,外国人の持つ文化,宗教,生活習慣等における多様性に対して寛容な態度を持ち,これを尊重するなど,国際化時代にふさわしい人権意識を育てることを目指して,人権尊重思想の普及高揚を図るための啓発活動を充実・強化する。(法務省)

     学校においては,国際化の著しい進展を踏まえ,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間といった学校教育活動全体を通じて,広い視野を持ち,異文化を尊重する態度や異なる習慣・文化を持った人々と共に生きていく態度を育成するための教育の充実を図る。また,外国人児童生徒に対して,日本語の指導を始め,適切な支援を行っていく。(文部科学省)

     外国人に対しては,就労における差別や入居・入店拒否,在日朝鮮人児童・生徒への暴力や嫌がらせ等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対し外国人の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

     外国人の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,通訳を配置した外国人のための人権相談所を開設するなど,人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (8)  HIV感染者等

○  医学的に見て不正確な知識や思いこみによる過度の危機意識の結果,感染症患者に対する偏見や差別意識が生まれ,患者や家族に対する様々な人権問題が生じている。

○  感染症については,まず治療及び予防といった医学的な対応が不可欠であることは言うまでもないが,それとともに患者,元患者や家族に対する偏見や差別意識の解消など人権に関する配慮も欠かせない。

      ア  HIV感染者

○  HIV感染症は,進行性の免疫機能障害を特徴とする疾患であり,HIVによって引き起こされる免疫不全症候群のことを特にエイズ(AIDS)と呼んでいる。

○  エイズは,1981年(昭和56年)にアメリカ合衆国で最初の症例が報告されて以来,その広がりは世界的に深刻な状況にあるが,我が国においても昭和60年3月に最初の患者が発見され,国民の身近な問題として急速にクローズアップされてきた。

○  エイズ患者を含むHIV感染者に対しては,正しい知識や理解の不足から国民の間に一方的なイメージが形成され,これまで多くの偏見や差別意識を生んできたが,そのことが原因となって,医療現場における診療拒否や無断検診のほか,就職拒否や職場解雇,アパートへの入居拒否・立ち退き要求,公衆浴場への入場拒否など,社会生活の様々な場面で人権問題となって現れている。

○  しかし,HIV感染症は,その感染経路が特定している上,感染力もそれほど強いものでないことから,正しい知識に基づいて通常の日常生活を送る限り,いたずらに感染を恐れる必要はなく,また,近時の医学的知識の集積と新しい治療薬の開発等によってHIV感染症の中には治療可能なものも出てきている。

○  政府としては,基本的人権尊重の観点から,すべての人の生命の尊さや生存することの大切さを広く国民に伝えるとともに,HIV感染者との共存・共生に関する理解を深める観点から,特に以下の施策に積極的に取り組む必要がある。

       HIV感染症等に関する啓発資料の作成・配布,各種の広報活動,世界エイズデーの開催等を通じて,HIV感染症等についての正しい知識の普及を図ることにより,エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別意識を解消し,HIV感染症及びその感染者等への理解を深めるための啓発活動を推進する。(法務省,厚生労働省)

       学校教育においては,エイズ教育の推進を通じて,発達段階に応じて正しい知識を身に付けることにより,エイズ患者やHIV感染者に対する偏見や差別をなくすとともに,そのための教材作成や教職員の研修を推進する。(文部科学省)

       職場におけるエイズ患者やHIV感染者に対する誤解等から生じる差別の除去等のためのエイズに関する正しい知識を普及する。(厚生労働省)

       エイズ患者やHIV感染者に対しては,日常生活,職場,医療現場等における差別,プライバシー侵害等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対しHIV感染者等の人権の重要性について正しい認識と理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

       エイズ患者やHIV感染者の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組むとともに,相談内容に関する秘密維持を一層厳格にするなどHIV感染者等が利用しやすい人権相談体制を充実させる。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

      イ  ハンセン病患者等

○  ハンセン病は,らい菌による感染症であるが,らい菌に感染しただけでは発病する可能性は極めて低く,現在,発病した場合であっても治療方法が確立している。また,遺伝病でないことも判明している。

○  したがって,ハンセン病患者を隔離する必要は全くないものであるが,従来,我が国においては,発病した患者の外見上の特徴から特殊な病気として扱われ,古くから施設入所を強制する隔離政策が採られてきた。この隔離政策は,昭和28年に改正された「らい予防法」においても引き続き維持され,さらに,昭和30年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となった後も,依然として改められることはなかった。

○  平成8年に「らい予防法の廃止に関する法律」が施行され,ようやく強制隔離政策は終結することとなるが,療養所入所者の多くは,これまでの長期間にわたる隔離などにより,家族や親族などとの関係を絶たれ,また,入所者自身の高齢化等により,病気が完治した後も療養所に残らざるを得ないなど,社会復帰が困難な状況にある。

○  このような状況の下,平成13年5月11日,ハンセン病患者に対する国の損害賠償責任を認める下級審判決が下されたが,これが大きな契機となって,ハンセン病問題の重大性が改めて国民に明らかにされ,国によるハンセン病患者及び元患者に対する損失補償や,名誉回復及び福祉増進等の措置が図られつつある。

○  政府としては,各種の啓発活動を行ってきたところであるが,国民の間に存するハンセン病患者等に対する偏見や差別意識の解消に向けて一層の強化を図っていく必要があり,特に以下のような施策が緊急に求められるところである。

       ハンセン病に関する啓発資料の作成・配布,各種の広報活動,ハンセン病資料館の運営等を通じて,ハンセン病についての正しい知識の普及を図ることにより,ハンセン病に対する偏見や差別意識を解消し,ハンセン病及びその感染者への理解を深めるための啓発活動を推進する。学校教育及び社会教育においても,啓発資料の適切な活用を図る。(法務省,厚生労働省,文部科学省)

       ハンセン病患者等に対しては,入居拒否,日常生活における差別や嫌がらせ,社会復帰の妨げとなる行為等の問題があるが,そのような事案が発生した場合には,人権侵犯事件としての調査・処理や人権相談の対応など当該事案に応じた適切な解決を図るとともに,関係者に対しハンセン病に関する正しい知識と患者等の人権の重要性について理解を深めるための啓発活動を実施する。(法務省)

       ハンセン病患者等の人権問題の解決を図るため,法務局・地方法務局の常設人権相談所において人権相談に積極的に取り組む。特に,ハンセン病療養所の入所者等に対する人権相談を積極的に行い,入所者の気持ちを理解し,少しでも心の傷が癒されるように努める。なお,相談に当たっては,関係機関と密接な連携協力を図るものとする。(法務省)

    (9)  刑を終えて出所した人

○  刑を終えて出所した人に対しては,国民の意識の中に根強い偏見があり,就職に際しての差別や住居等の確保の困難など,社会復帰を目指す人たちにとって極めて厳しい状況にある。

○  刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識を解消し,その社会復帰に資するための啓発活動を今後も積極的に推進する。

    (10)  犯罪被害者等

○  犯罪被害者の権利の保護に関しては,平成12年に犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の制定,刑事訴訟法や検察審査会法,少年法の改正等の一連の法的措置によって,司法手続における改善が図られたところであり,今後,こうした制度の適正な運用が求められる。

○  また,犯罪被害者をめぐる問題としては,報道によるプライバシー侵害や名誉毀損,過剰な取材による私生活の平穏の侵害等を挙げることができる。

○  このような状況を踏まえ,犯罪被害者等の人権擁護に資する啓発活動を推進する必要がある。

    (11)  インターネットによる人権侵害

○  インターネットには,電子メールのような特定人間の通信のほかに,ホームページのような不特定多数の利用者に対する情報発信,電子掲示板を利用したネットニュースのような不特定多数の利用者間の反復的な情報の受発信等がある。

○  いずれも発信者に匿名性があり,情報発信が技術的・心理的に容易にできるといった側面があることから,他人を誹謗中傷する表現や差別を助長する表現等の個人や集団にとって有害な情報の掲載,少年被疑者の実名・顔写真の掲載など,人権にかかわる問題が発生している。

○  憲法の保障する表現の自由に十分配慮しながらも,一般に許される限度を超えて他人の人権を侵害するこれら悪質な事案に対しては,発信者が判明する場合は,同人に対する啓発を通じて侵害状況を排除し,また,発信者を特定できない場合は,プロバイダーに対して当該ホームページ等の停止・削除を申し入れるなど,業界の自主規制を促すことにより個別的な対応を図っている。

○  こうした動向等を踏まえ,以下の取組を進めることとする。

     一般のインターネット利用者に対して,個人のプライバシーや名誉に関する正しい理解を深めることが肝要であり,そのため広く国民に対して啓発活動を推進する。(法務省)

     学校においては,情報に関する教科において,インターネット上の誤った情報や偏った情報をめぐる問題を含め,情報化が社会にもたらす影響について知り,情報の収集・発信における個人の責任や情報モラルについて理解させるための教育の充実を図る。(文部科学省)

    (12)  その他

○  以上のほか,例えば同性愛者への差別といった性的指向に係る問題など,新たに生起する人権問題等その他の課題についても,それぞれの問題の状況に応じて,その解決に資する施策の検討を行う。

 

  3  人権にかかわる特定職業従事者に対する研修等

○  人権教育・啓発の推進に当たっては,人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者(検察職員,矯正施設・更生保護関係職員等,入国管理関係職員,教員・社会教育関係職員,医療関係者,福祉関係職員,海上保安官,労働行政関係職員,消防職員,警察職員,自衛官,公務員,マスメディア関係者)に対して,人権教育・啓発に関する取組を強化する必要があり,国連10年国内行動計画に基づく関係省庁の取組は今後とも充実させる方向で積極的に推進する。

○  また,議会関係者や裁判官等についても,立法府及び司法府において同様の取組があれば,行政府としての役割を踏まえつつも,情報の提供や講師の紹介等可能な限りの協力に努める。

 

  4  総合的かつ効果的な推進体制等

    (1)  実施主体の強化及び周知度の向上

○  人権教育・啓発を効果的に推進するためには,人権教育・啓発の実施主体の体制を質・量の両面にわたって充実・強化する必要がある。

○  特に,地域に密着した効果的な人権啓発の実施を行うためには,現在,全国に約14,000名配置されている人権擁護委員の活用が有効かつ不可欠であり,適正な人材の確保・配置などにも配慮し,その基盤整備を図る必要がある。

○  また,法務省の人権擁護機関を始めとする実施主体に関する国民一般の認識は,世論調査の結果等によれば,必ずしも高いとは言えない。実施主体の組織及び活動について,啓発対象者が十分な認識を持っていればいるほど,啓発効果も大きなものを期待することができることから,各実施主体は,広報用のパンフレットを作成したり,ホームページを開設するなど,平素から広報活動に努めるべきである。

    (2)  実施主体間の連携

      ア  既存組織の強化

○  中央における「人権教育・啓発に関する中央省庁連絡協議会」及び地方における「人権啓発活動ネットワーク協議会」は,人権教育・啓発の総合的かつ効果的な推進を図る上で大きな役割を担っており,その組織力や活動の充実強化等,更なる整備・発展を図っていくべきである。

      イ  新たな連携の構築

○  幼稚園,小・中・高等学校などの学校教育機関及び公民館などの社会教育機関と,法務局・地方法務局,人権擁護委員などの人権擁護機関との間における連携の構築が重要である。

○  また,女性,子ども,高齢者等様々な人権課題ごとに,より柔軟かつ幅広い連携の在り方が検討されるべきである。

○  さらに,公益法人や民間団体等との関係においても,連携の可能性やその範囲について模索していくべきである。

    (3)  担当者の育成

○  国及び地方公共団体は,研修等を通じて,人権教育・啓発の担当者の育成を図ることが重要である。

○  (財)人権教育啓発推進センターなどの専門機関の豊富な知識と経験等を活用し,人権教育・啓発の担当者の育成を図るための研修プログラムの策定についても検討する。

○  人権教育・啓発の担当者として,日頃から人権感覚を豊かにするため,自己研鑽に努めることが大切であり,主体的な取組を促していくことが重要である。

    (4)  文献・資料等の整備・充実

○  関係資料の整備・充実に努める。

○  その有効な活用を図る観点から,情報ネットワーク化を検討するほか,多くの人々がこうした情報にアクセスしやすい環境の整備・充実に努める。

○  時代の流れに即応した国際文書等新たな文献や資料等の収集・整備に努めるとともに,従来必ずしも調査研究が十分でなかった分野等についても,機会に応じて,収集・充実に努める。

○  (財)人権教育啓発推進センターに開設されている「人権ライブラリー」の充実を図る。

    (5)  内容・手法に関する調査・研究

      ア  既存の調査・研究の活用

○  企業,民間団体が実施した人権教育・啓発の内容・手法に関する調査・研究は,斬新な視点からのアプローチが期待できる。

○  地方公共団体の調査・研究の成果等は,地域の実情,特性を踏まえた地域住民の人権意識の高揚を図る観点から取り組まれたものとして,民意を反映した参考とすべき多くの視点が含まれている。

○  諸外国における調査・研究の成果等を活用することの意味

    ・  啓発手法の比較検討ができ,新たな手法創出の参考となる。

    ・  諸外国における国民,住民の人権意識状況等を知ることができ,我が国の人権状況の把握に資する。

      イ  新たな調査・研究

    ・  開発スタッフ等の育成

    ・  専門機関等への開発委託,共同開発

      ウ  その他

○  調査・研究及び開発された人権教育・啓発の内容・手法を実際に人権啓発フェスティバル等において実践し,その啓発効果等を検証する仕組についても検討する必要がある。

    (6)  (財) 人権教育啓発推進センターの充実

○  (財)人権教育啓発推進センターには,民間団体としての特質を生かした人権教育・啓発活動を総合的に行うナショナルセンターとしての役割が期待されている。

○  その役割を十分に果たすため,組織・機構の整備充実,人権課題に関する専門的知識を有するスタッフの育成・確保など同センターの機能の充実を図るとともに,人権ライブラリーの活用,人権啓発指導者養成研修のプログラムや人権教育・啓発教材の開発など,同センターにおいて実施している事業のより一層の充実が必要である。

○  なお,充実に当たっては,民間団体としての特質を十分生かした方策とするとともに,政府において検討が進められている公益法人に関する改革と整合的なものとなるよう十分配慮する。

    (7)  マスメディアの活用等

      ア  マスメディアの活用

○  人権教育・啓発の推進に当たって,教育・啓発の媒体としてマスメディアの果たす役割は極めて大きい。

○  マスメディアには,映像媒体,音声媒体,文字媒体等があり,各々その特性があることから,媒体の選定に当たっては当該媒体の特徴を十分考慮し,その効用を最大限に活用する。

      イ  民間のアイディアの活用

○  人権教育・啓発のノウハウについて,民間は豊富な知識と経験を有しており,多様な視点から,より効果的な手法を駆使した教育・啓発の実施が期待できることから,その積極的活用が望まれる。

○  活用に当たっては,委託方式も視野に入れ,より効果を高めていく。

      ウ  国民の積極的参加意識の醸成

○  広く国民一般に対して自然な形で人権問題について興味を持ってもらう方法として,人権教育・啓発の手法の中に,例えば,人権標語,人権ポスター図案の作成等について一般国民からの募集方式を導入する。

    (8)  インターネット等IT関連技術の活用

○  近年,情報伝達の媒体としてのインターネットは長足の進歩を遂げ,更に一層急速な発展を続けている。

○  高度情報化時代におけるインターネットの特性を活用して,広く国民に対して人権関係情報を提供するとともに,基本的人権尊重の理念を普及高揚させるための人権啓発活動を推進する。

○  また,人権教育・啓発実施主体によるホームページの開設やリンク集の開発,情報端末の効果的な利用なども望まれる。

 

 第5章 計画の推進

  1  推進体制

○  法務省及び文部科学省を中心とする関係各府省庁の緊密な連携の下に本基本計画を推進する。

○  関係各府省庁は,本基本計画の趣旨を十分踏まえて,その所掌に属する施策に関する実施体制の整備・充実を図るなど,その着実かつ効果的な実施を図る。

  2  地方公共団体等との連携

○  地方公共団体その他の公的機関,関係民間団体等が,それぞれの分野及び立場において,必要に応じて有機的な連携を保ちながら,本基本計画の趣旨に沿った自主的な取組を展開することを期待するとともに,本基本計画の実施に当たっては,これらの団体等の取組や意見にも配慮する必要がある。

  3  計画のフォロ−アップ及び見直し

○  国会への年次報告書(白書)の作成・公表等を通じて,前年度の施策の実施状況を点検し,その結果を以後の施策に適正に反映させるなど,基本計画のフォロ−アップに努める。

○  人権をめぐる諸状況や人権教育・啓発の現状及び国民の意識等について把握するよう努めるとともに,国内の社会経済情勢の変化や国際的潮流の動向等に適切に対応するため,必要に応じて本基本計画の見直しを行う。