「オバマ大統領への手紙:非暴力平和実現を求める書簡」を出す件
提案理由:
NCCは第36総会で、「『改憲』に反対し、非暴力による平和と和解の文化を構築していくことを確認し、「平和憲法を実現するための働きを推進する決議」を採択しました。2007年5月に、「改憲手続き法」と言われている「国民投票法」が強行可決され、「改憲」の動きが政治日程にのり、さらに加速されることになりました。しかし、非暴力による平和実現を願い、「改憲」を阻止しようとする取り組みの広がりによって、世論は「改憲を必要としない」声が多数になってきています。しかしこの間、武力攻撃を拡大するブッシュ政権は、日本に更なる軍事的貢献を求めており、それは「改憲」を求める圧力にもなっていました。そのブッシュ政権を批判することで、オバマ大統領が誕生したことによって、武力によらない紛争解決の期待が高まっています。このような時に、ブッシュ大統領が進めてきた軍事優先の政策を改め、非暴力平和を願うすべての人々の願いを受け止め、大統領の職務を遂行されますよう期待して、日本キリスト教協議会の名によってオバマ大統領へ書簡を送ります。
オバマ大統領への書簡
バラク・オバマ大統領様
ブッシュ政権のもたらした災悪を癒し、方向を「チェンジ」する公約をし、米国民が、第44代大統領にあなたを選出した歴史的な決断を、私たちは心から歓迎します。
あなたは就任式の演説で、「我々を今見ている他の民族や政府に対して言いたい。巨大な都市から、私の父が生まれたような最も小さな村まで、米国は平和で尊厳ある将来を求めるすべての国々とすべての男女、そして子どもの友人であり、もう一度、指導力を発揮する用意があることを知ってほしい」と熱く語られました。あなたは選挙期間中、「武力で平和をつくるのではなく、対話を重視したい」とも述べられています。それゆえ私たちは、いかなる暴力をも放棄した上で「平和」を実現していく大統領として、あなたがその指導力を発揮されていくことを心から期待し、非暴力平和を希求する世界中の人たちと共に、あなたの大統領就任をお祝い申し上げます。
私たち日本キリスト教協議会は、先の戦争に協力した私たちの過ちを悔い改め、「剣を取る者は皆、剣で滅びる」と警告されたイエスの言葉に従い、「平和を実現する人々は幸いである」との招きに応えて、武力によらない平和が実現されることを心から願っています。
ご承知のように、日本は第二次世界大戦で大きな過ちを犯し、その反省から平和憲法を制定し、「諸国民の公正と信義に信頼して」(憲法前文)、憲法第9条「戦争の放棄」を次のように宣言しました。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
残念ながら今も、「テロに対する正義の戦争」との理由で、世界各地で暴力による報復が際限なく続いています。もちろん私たちはテロという卑劣な暴力行為に対して断固として反対するものですが、しかし同時に、私たちは「正義の戦争」などあり得ないこと、そして武力による紛争解決は、新たな憎しみと暴力の連鎖を生み出すばかりで、真の和解と平和が実現されないことを歴史的な事実として知っています。1999年に行われた「ハーグ平和アピール市民社会会議」(Hague Appeal for Peace Civil Society Conference)は、公正な世界秩序のための基本10原則の第一で、「各国議会は、日本国憲法第9条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである」と宣言し、憲法9条を有する私たちに大きな勇気を与えました。それゆえ、非暴力を国の基本的なあり方とする憲法9条は、世界が必要とする平和構築のモデルであると私たちは信じます。しかし、そのような「戦争放棄」を定めた憲法第9条を有しているにも関わらず、日本が自衛隊という「軍隊」を持ち、「国際貢献」の名の下に世界各地に自衛隊を派遣してきていることに対して、私たちはこれまで反対の声を挙げ続けてきました。
ブッシュ政権はこの8年間、アジア太平洋における米軍再編、また日米安保条約のさらなる強化を進め、日本が憲法第9条を「改正」して、戦争できる国となることを日本政府に強く求めてきました。しかし憲法第9条が「改正」され、日本が再び戦争ができるようになることは、アジアのみならず世界の平和と安全を著しく脅かすことにも繋がり、私たちは深く憂慮しています。
私たちは、ブッシュ政権の一方的軍事行動による世界支配を、多国間の対話と協力に変えるというあなたの公約を心から歓迎します。私たちは、あなたがこの公約に従って、日本とのあらゆる軍事取り決めを破棄すること、憲法9条「改正」への日本への要求や圧力を中止すること、沖縄をはじめとする在日米軍の引き上げ、自衛隊派兵の要請を中止することを強く要望します。
軍事力では真の平和は達成できません。平和憲法第9条は日本だけでなく、世界の宝です。その大切な憲法9条を実現することが、世界の平和に欠かせないものであると私たちは信じます。かつてキング牧師は「私には夢がある」と高らかに述べ、暴力によってではなく平和と人権が守られる世界を夢見ていました。「なぜ男性も女性も子どもたちも、どのような人種、宗教の人々も、こうして就任式に集まることができるのか。なぜ約60年前なら地元のレストランで給仕されなかった可能性のある男の息子が、こうして皆さんの前で宣誓式に臨むことができるのか。これこそが、我々の自由、我々の信条の意味なのだ。」と就任式であなたが演説された時、私たちはキング牧師の夢があなたの大統領就任において実現したことに深い感動を覚えました。それゆえ私たちは、非暴力平和実現は、決して「夢」ではなく「現実の力」であると信じます。
第44代アメリカ大統領に就任されたあなたが、非暴力平和を願うすべての人々の願いを受け止めてくださり、大統領の職務を遂行されますよう期待します。平和の主イエス・キリストの祝福がありますように!
2009年3月24日
日本キリスト教協議会 第37回総会