北陸電力 永原功様
経済産業省原子力安全・保安院 御中
北陸電力・志賀原発第一号機で、1999年の定期検査中、原子炉の核分裂を止める制御棒3本がはずれ、原子炉が一時核分裂の続く臨界状態になっていたことが、7年余もの年月隠蔽された挙句、昨日になって発覚し、報道されました。それにより私共の知るところでは、事故直後に警報が出たにも拘わらず、緊急時の安全装置までが設定不備のため作動せず、作業員の手作業で15分後に何とか回復を図ったとのこと、驚愕いたしました。この重大な事故により作業員らに被曝が無かったことは幸いでしたが、事故の事実を運転日誌にも記さず、国への報告も怠って隠し通してきたことに更に唖然とさせられました。これは許し難い不正義であり、断固として抗議します。
99年といえば9月にはJCOで臨界事故が起きた年です。大きな社会問題となったことを関係者はもとより周知のはずなのに、その3ヶ月前に起ったことが、何故これまで明らかにされなかったのでしょうか。今回のことは、原子力安全保安院が昨秋各電力会社に指示した発電所の総点検の結果、判明したとのことですが、事実が明らかになるまでに余りに時間がかかりすぎでいます。保安院をはじめとして国全体が隠蔽に拘わっていることが疑われるような事態ではないでしょうか。この事故がもし直ぐに公表されていたら、あのJCOの悲惨な事故も防げた可能性も考えると一層残念です。
北陸電力に限らず原発をめぐってはトラブルの報告漏れやデータの改ざん、事故隠しなどが日常的に行なわれていることが、相次ぐ不祥事のために広く国民に疑われています。原子力安全保安院は果たして正常に機能しているのか、強い不信感を覚えざるをえません。
私共チェルノブイリの災害事故による被災者支援に携わっている者としては、事故内容が同じく制御棒の事故であり、ミスの重なり方も似通っていることが注目されます。一歩間違えば大災害につながったのでは、と危惧せざるを得ません。住民に不安を与えないために公表を避けたか、面子のために隠蔽したのかわかりませんが、事故を隠すことで、その情報が生かされないばかりでなく、同じ事故がどこかで起ることを防ぐ役割も放棄してしまっています。
今日本の電力の30パーセントは原子力で賄われています。私たちは電力を原子力に頼らないで、持続可能な電力供給策の確立を早急に進めていただきたいと願いますが、せめて原子力依存の割合を年を追って低くして欲しいと改めて希望します。
地球温暖化は深刻な問題ですが、このような重大な事故が隠蔽される体質の上に成り立つ原子力発電は、人間だけでなく生とし生けるもの全ての命を奪うことにもつながり、地球の温暖化よりずっと危険で恐ろしいものです。
どうか、原子力保安院だけでなく、第三者機関を交えて原子力事故の再発防止に真剣に取り組んでください。また、完全な情報公開がなされるよう要望いたします。
2007年3月16日
NCCチェルノブイリ災害問題プロジェクト
委員長 坂内義子