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新たな国立追悼施設の設置に反対します

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 殿

私たちは、新たな国立追悼施設の設置に反対します。
民主党の政策集「INDEX2009」に「特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置」とあり、総理ご自身、この国立追悼施設の新設の件につき積極的な発言をされています。その理由は、A級戦犯が祀られている靖国神社へは、総理大臣や閣僚が参拝するのは好ましくない、また天皇も参拝できないので大変辛い思いをしておられるのではないか、天皇が心安らかに参拝できるような施設が好ましいという趣旨の発言をしておられます。
自民党の2002年小泉首相時代に福田官房長官によって提出された「追悼・平和祈念にための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」による報告書は、靖国神社を無視するものであるという理由でたなざらしのままでしたが、今回は、政権を与えられた民主党が、「特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置」を目指していることが明らかににされました。
この新設国立追悼施設の特徴は、特定の宗教性をもたない施設、またA級戦犯が祀られていない施設、すなわち誰にでも追悼できる施設であるということ、また靖国神社にかわる施設であるということです。しかし、敗戦に至るまでの靖国神社の役割、また戦後において靖国神社の果たしている役割を考えれば、私たちは、新たな国立追悼施設の設置に反対せざるを得ません。今年はそのための予算がつかなかったようですので、近日中に設置に関して積極的に検討されることはないように思われますが、私たちは、国立追悼施設を新設することに次の理由で反対いたします。
(1)無宗教の施設ならば、国立であっても問題はないと思うという、この意見に対しては、本来「無宗教」の施設であっても国家(政治)によって、宗教的性格を持ったものに変質させられることが予想されます。すなわち、国立追悼施設は、どれほど明確な反戦・平和の意志と戦争責任認識を刻んでつくられたとしても、それに関与する国の政治が戦争とナショナリズムに向かうものになってしまえば、いつでも容易に「第二の靖国」となり、新たな戦争に国民を動員する役割を果たすようになります。
(2)国家が「個人の生死の意味づけ」するようなことをしてはならないということです。国家と宗教が一体となった敗戦までの靖国神社の担った役割を考えれば、国家が追悼するという場を設けることには反対です。また、憲法の政教分離の原則を守るということからも反対です。
(3)日本国憲法から言えば、日本は軍隊をもたないと決心した国家であると思いますが、実際は、強力な軍隊をもっています。国立追悼施設が無ければ、進んで国のために死ぬ人はいないという意見がありますが、これはこれからの戦争を仮定した論です。実際、今年は有事法制下においてソマリア沖への派兵が行われましたが、日本は、外交によって平和を構築することに力を尽くすべきであると思います。
2009年12月7日

日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会
委員長 辻子実