内閣総理大臣 福田康夫殿
防衛大臣 石破茂殿
外務大臣 高村正彦殿
海上自衛艦「あたご」の引き起こした海難事故に関する抗議と
武力によらない平和づくりへの提言
2月19日早朝、海上自衛隊のイージス艦「あたご」の引き起こした、漁船「清徳丸」との衝突事故に関して、日本キリスト教協議会平和・核問題委員会は、憂いと憤りをこめて抗議を表します。
わたしたちは軍事同盟による安全保障によっては真の平和を作り出すことはできないことを確信し、武力・暴力によらない平和を実現するために祈りつつ行動しているキリスト者です。今回の海難事故はわたしたちの確信をさらに固めることになりました。
日本国は過去の侵略戦争を反省し平和憲法を周辺諸国との「国際公約」として制定し、武力の放棄を約束しました。にもかかわらず、米国からの圧力にもより、憲法違反の警察予備隊を設置し、それを自衛隊と改組し、今や世界有数の軍備を持つまでになりました。また憲法違反の日米安全保障条約によって日本に駐留している米軍と自衛隊の一体化は、90年代以降加速化され、今もイラク本土とインド洋上に自衛隊を米軍の後備えとして派兵しています。今回の事故においても、ハワイでミサイル発射演習を終えて横須賀港に戻る際に起こったということは、米軍との一体化が事故の一因であることを証明しています。
また、わたしたちは納税者としてもその責任と権利において、軍備に自らの税金を用いられることに反対します。イージス艦の建造費は一隻あたり1400億円とも報じられています。市民に脅威を与え、周辺諸国との緊張を高める軍隊のために巨額の税金を投じることに反対します。
今回の事故と、その後の自衛隊・防衛省の対応は軍隊というものの本質を明らかにしました。軍隊は市民を守りません。むしろ市民を侮り、「軍艦だけは海の上の規則を守らなくても良い」かのように傍若無人に振舞います。また軍隊は自分たちの組織を守ろうとします。そのためには市民の表現の自由を奪おうともしますし、都合の良い情報だけを流そうともします。結局軍隊は国家権力と軍需産業の利権構造のためにのみ仕えています。防衛利権をめぐる不正はその証左です。
だから、今回のような軍隊が引き起こす事故・市民に対する暴力への根本的解決は唯一つ、あらゆる武力を放棄することです。防衛省・自衛隊内の綱紀粛正や再発防止策、危機管理体制の立て直しなどは小手先の方便であって、真の問題から目をそらせることでしかありません。むしろ、在日米軍の存在や自衛隊の存在など違憲状態の放置を悔い改め、沖縄や横須賀をはじめ国内の軍事施設をすべて廃棄し、自国の武装解除を果たしながら、世界に向けて武装解除を呼びかけることです。すべて剣を取る者は剣によって滅びるからです。わたしたちは剣のような武具を打ち直して、鋤のような農具に変えていかなくてはなりません。軍事予算を教育や福祉予算に、基地を農地に、自衛隊を医療・技術協力や災害救援のための「平和協力隊」に、変えていかなくてはなりません。
日本国政府は憲法を遵守し、すべての武力を放棄し、軍事同盟を廃棄し、あらゆる国との友好条約を結び、国際社会において「自衛戦争すら犯罪とみなす、徹底した戦争の違法化」および「非暴力による平和」を対話努力によって目指すべきと、わたしたちは考えます。それはしばしば指摘されるような、軍事力による国際貢献を前提とする「日本の国連安保理常任理事国入り」、「軍事大国化」を目指さないことでもあります。
それゆえに、わたしたちは武力によらない、キリストの平和をつくりだすために、以下のことを提言し、要求します。
一、海難事故被害者への誠実な謝罪と賠償。
一、事故の原因を徹底的に究明し、内閣・防衛省・自衛隊内部での責任の所在を明確にすること。
一、憲法違反の日米安全保障条約の廃棄と在日米軍の撤退。
一、憲法違反の自衛隊の武装解除と、「平和協力隊」への改組。
一、憲法違反の防衛省の、「平和省」への改組。
日本キリスト教協議会
平和・核問題委員会
委員長・平良愛香
2008年2月28日